ノートパソコンのバッテリーについて
現在流通しているバッテリーの種類
- ニッケル水素(Ni-MH)電池
リチウムイオン電池に比べて安価であり,
バッテリー駆動をあまり必要としない
A4 ノートに採用されていることもある.
いわゆるメモリー効果がある.
ただし,ニッカド(Ni-Cd)電池
(90 年代半ばまで主流であった電池)ほどではない.
そのような事態に遭遇した場合は,
いったん完全に放電してしまえばよい.
- リチウムイオン(Li-ion)電池
現在の主流である.
ニッケル水素電池に対してエネルギー密度は約 2 倍であり,
軽量・小型で容量の大きなバッテリが作れる.
また,メモリー効果はない.
バッテリー劣化の分類
- サイクル劣化
充放電を繰り返すことでバッテリーの容量が低下することをサイクル劣化
という.
これは,バッテリー内で起こる不可逆な化学反応
(例えば,電解液と反応することで不可逆な化合物が生成される)
が原因である.
リチウムイオン電池の場合,おおよそ
300〜500 回のサイクルで 60〜80 % の容量へと劣化する.
ただし,1 回のサイクルとは,
電荷量が 0 % になるまで消費(放電)し,
そのうえで容量の上限まで充電することを意味する.
いわゆる「フル放電/フル充電」である.
仮に「容量の 50 % だけ放電した状態で再び充電する」
という操作を繰り返した場合は,2 回の繰り返しが上述の
1 サイクルに相当する.
(リチウムイオン電池にメモリー効果はないことに注意)
- 保存劣化
サイクル劣化に対し,バッテリーの使用・不使用に関わらず
時間の経過とともにバッテリーの容量が低下することを保存劣化という.
この種の劣化は,バッテリーの設置状況に依存する.
バッテリーが高温になると,その内部における化学反応は促進される.
すなわち,劣化が進むことになる.
また,言うまでもなく,満充電状態にある方が
そうでない場合に比べて劣化する.
特に,バッテリーを装備したまま AC 駆動すると,
満充電状態が維持されつつ機器温度も高くなるため,
保存劣化に拍車をかける結果となる.
バッテリー劣化への対策
- 長時間のバッテリー駆動を必要とする場合を除き,
満充電状態にならないよう注意する.
8 割程度が適当との指摘もある.
- 机上で固定して使用する場合は,
バッテリーを取り外すとよい.
ただし,この場合は不慮の事故で電力が供給されなくなった場合
には対処できないので注意が必要である.
参考文献
- 小野口 哲,"今さら聞けないバッテリーの正しい使い方,"
日経パソコン
2003.5.26,pp.122 - 128,日経 BP 社,東京,2003.